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経営者が言う「人手不足」、本当の課題は何か?

経営者が言う「人手不足」、本当の課題は何か?

【この記事でわかること】
SNS運用やマーケティングをはじめとしたコンサルティング企業としてさまざまな企業を支援してきたAffectoryが、現場で繰り返し見てきた共通の「ズレ」をお伝えします。
経営相談で最も多いのは「人を採りたい」「求人を出しても来ない」という採用課題です。しかし掘り下げると、本当の問題は求人内容ではないケースが大半。経営者自身が気づけない構造、変われる会社と厳しい会社の見分け方、本当の課題に向き合うための3ステップを、200社以上の支援とM&Aで複数の中小企業を経営してきた立場から解説します。

【執筆】株式会社Affectory 取締役 堀池 広樹
(中小企業向けDX支援・SNS運用・映像制作・新規事業コンサルティング/affectory.co.jp


経営コンサルタントとして中小企業の相談を受けるとき、最初の15分で経営者が口にする課題と、実際に現場を見て浮かび上がる課題はほぼ確実にズレています。

これは経営者が嘘をついているわけではありません。言っていること自体は確かに困っていることです。ただし、その課題の原因や解決策が本当の原因と違うことが非常に多いのです。

なぜズレるのか。答えは単純で、経営者と話しているだけでは本当の課題は見えないからです。現場のスタッフと話して、取引先の生の声を聞いて、数字の裏側を見て、初めて構造が見えてきます。

「人手不足」の裏にある「離職」の問題

問い合わせで最も繰り返し出てくるのは採用課題です。「人を採りたい」「求人を出しても来ない」という相談が圧倒的に多い。

しかし掘り下げると、本当の問題は採用ではなく離職にあります。「維持すべき人を維持できていない」ことが根本です。辞めていく人がいる限り、いくら採用しても穴は埋まりません。「どうやったら人が辞めないか」を先に考えるべきなのです。

なぜ経営者自身が気づけないか。現場のスタッフと経営者では目線や感じ方が違います。スタッフの意思を100%伝えられている会社はほとんど無いからです。その原因は社長自身のコミュニケーションスタイルにあったりします。経営者は気づいていませんし、現場も直接は言えません。この構造が、課題のズレを生みます。

「変われる会社」と「厳しい会社」の見分け方

相談を受ける側として何を見ているか。

変われる会社のサインは、経営者がスタッフからリスペクトされていることです。経営者が「右に行く」と言ったらみんなついてくる会社。こういう会社は、課題が見つかっても方向転換が早いです。

厳しい会社のサインは、スタッフの空気が悪い会社です。結局は経営者に原因があるのですが、初回面談だけではわかりません。実務部隊に繋がれて、現場のスタッフと話した時に「これはきつそうだ」と感じます。こういった場合は、経営者のことをスタッフに理解してもらうため、コミュニケーションの場を強制的に増やします。100人規模の会社でも全員と話してもらいます。我々もスタッフとの対話の場を多く設けます。

はじめは経営者もスタッフも苦しいプロセスですが、経営者が今困っていることや将来やりたいことを正直に開示することで、相互理解が得られます。相互理解はサイレント離職を防ぐために必ず必要な要素です。

本当の課題に向き合うための3ステップ

自社の本当の課題を見つけるために、以下の手順を試してみてください。

ステップ1:経営者以外の声を聞く
現場のスタッフ、取引先、お客様に「うちの会社についてどう思いますか」と聞いてみてください。取引先やお客様には、「普段スタッフとどんな話をしますか」と聞きます。経営者の認識と現場の認識のギャップが、そのまま「本当の課題」のヒントになります。

ステップ2:「辞めた人の理由」を正直に振り返る
採用に課題を感じているなら、まず直近で辞めた人の退職理由を洗い出してください。「一身上の都合」で片付けず、本当の理由を把握する努力をしましょう。理由がわからない場合は、辞めた人の周りにいる人に自らの悩みを開示し、正直に話してもらいましょう。

ステップ3:辞める前に声を吸い上げる仕組みを作る
辞めた人の理由を振り返るだけでは後手に回ります。月次1on1や現場リーダーから経営層への定期報告など、声が「辞める前に」上がってくる動線を作ってください。仕組みがなければ、現場の不満は経営者まで届かないまま離職という形でしか表面化しません。

経営者と現場を繋ぐ「意味」の整理こそが本当の支援

10年以上の支援経験で確信していることがあります。中小企業の本当の課題は、個別の施策ではなく「会社が何のために存在するか」という”意味”の整理にあることがほとんどです。

経営者は「利益」「成長」を語り、現場は「働きやすさ」「やりがい」を求めます。両者は対立するわけではなく、同じ”意味”の違う側面です。経営者と現場がそれぞれ納得できる”意味”を言語化できている会社は、表の課題がなんであれ、必ず前に進みます。

Affectoryは飲食店経営やM&Aを通じてさまざまな業態の企業を運営しており、経営と現場を両方の立場で見てきました。だからこそ、表の課題の裏にある本当の課題を一緒に掘り下げる支援ができます。

支援モデルケース:「採用が追いつかない」が止まった離職の連鎖

(実際の支援現場でよくあるパターンを集約したモデルケースで、特定企業のものではありません)

関東で総菜・弁当のOEM製造を手がける中堅食品メーカーF社(従業員180名・うち本社事務職60名)。

経営者の最初の相談は「営業と本社管理部門の採用が追いつかない」「求人を出しても応募が来ない」でした。しかし現場のリーダー層に話を聞くと別の景色が見えてきました。

直近2年で営業と本社事務あわせて10名が退職し、退職者の共通理由(経営層の方針が現場に下りてくるまでに表現がぶれる/評価基準がブラックボックス)が、いま残っている社員からも繰り返し挙がっていたのです。

打ち手は採用強化ではなく、まず離職の止血。退職者にあらためて出口面談を実施して理由を構造化し、評価基準と昇給ルールを部門ごとに明文化、月次1on1で現場リーダーが拾った声を経営会議に上げる仕組みを作りました。

1年後、本社事務・営業の離職率は約15%から5%まで低下。採用を増やしていないにも関わらず人員定着率が上がり、「人手不足」を感じる場面そのものが大幅に減りました。


「人がいない」と感じている経営者ほど、現場のスタッフ・取引先に話を聞くと本当の課題が見えてきます。Affectoryでは、経営層だけでなく現場まで踏み込んで、表の課題の裏にある本当の課題を一緒に見つけることから支援を始めています。

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よくある質問

Q. 経営者の言う課題と本当の課題がズレるのはなぜですか?
A. 経営者は自社を「上から」見ていますが、課題の根本原因は「現場」にあることが多いためです。経営者と話すだけでは表面的な課題しか見えず、現場のスタッフと話して初めて本質が浮かび上がります。

Q. 中小企業の経営相談で最も多い悩みは何ですか?
A. 圧倒的に「採用」です。しかし本当の問題は採用ではなく離職にあることがほとんどです。人の流入ばかりに目を向けるのではなく、「なぜ辞めるのか」を先に解決すべきケースが大半です。

Q. 変われる会社と変われない会社の違いは何ですか?
A. 最大の違いは「経営者が従業員からリスペクトされているかどうか」です。経営者の方針にチームがついてくる会社は、課題発見後の方向転換が早く、成果につながりやすいです。

Q. 経営コンサルティングに相談するタイミングはいつがベストですか?
A. 問題が深刻化する前、つまり「なんとなくうまくいっていない」と感じた段階がベストです。「半年前に来ていれば」と感じる相談も多く、早い段階で外部の目を入れることで選択肢が広がります。