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伸びる中小企業と衰退する中小企業——数々の支援で見えた3つの差

【この記事でわかること】
SNS運用やマーケティングをはじめとしたコンサルティング企業として中小企業を支援してきたAffectoryが、率直に感じている事実があります。「伸びる会社」と「衰退する会社」には共通のパターンがあり、単発の施策では根本は変わりません。数多くの支援経験で見えた3つの決定的な差を共有します。

【執筆】株式会社Affectory 取締役 堀池 広樹
(中小企業向けDX支援・SNS運用・映像制作・新規事業コンサルティング/affectory.co.jp


中小企業の経営課題を10年以上見てきて、率直に感じることがあります。長く生き残っている会社は実は変わり続けています。

変わっていないのは、衰退していっている会社の方です。

この10年で「変わると思っていたのに変わらなかったこと」を一つ挙げるなら「IT化」です。もっとIT化が進むと思っていましたが、多くの中小企業で全く進みませんでしたし、する必要がないIT化をしてしまっている会社も多い。テクノロジーの導入自体が目的ではないということを、支援の現場でも痛感しています。

差1:伸びる会社は「すでに伸びている」

「この会社は間違いなく伸びる」と確信する瞬間があります。それは「将来の計画」を聞いたときではありません。今この瞬間の動きを見たときです。

伸びる会社はすでに伸びています。これから伸びるのではなく、今この瞬間も数字が変わり、話す内容もどんどん変わっています。定点観測していると、前回会ったときと明らかに違うことを言っています。新しいことを試し、結果が出て、次の手を考えています。

ダイエットを想像してください。「明日から食べる量を半分にする」と言っている人と、すでに食べる量を半分にしている人。ここには明確な分断があります。「将来こうなりたい」とずっと言い続けても、現状は1ミリも変わりません。

この点に関して、ファーストインプレッションに騙されたことはほとんどありません。なぜなら、見るのは「今この瞬間の変化の速度」だからです。

やるべきことには優先順位があります。優先順位の決め方が合理的な経営者はうまくいきます。

例えば、「影響度」×「難易度」×「速度」の掛け合わせで最もインパクトが大きいものから着手する。あるいは、余剰資金が十分あれば並行して実行する。

得られる結果を冷静に分析して実行する「分析力」と「実行力」が必要です。

差2:やるべきことを「やるかやらないか」

中小企業の経営者に「なんでやらないんだろう」と感じることを3つ挙げるなら、以下の通りです。

1. コストカット
利益が出ていないのに、固定費の見直しをしない。「今さら変えられない」「取引先との関係がある」という理由で放置されることが多いです。コストカットすれば新たな取り組みを始められる可能性があるため、少なくとも一度点検をすべきです。

2. 新規事業
既存事業の利益率が下がっているのに、新しい収益の柱を作ろうとしない。「リスクが怖い」「本業に集中すべき」と言いながら、本業の改善もしていないケースがあります。売上や利益率が下がっているからこそ、新たな柱が必要です。

創業時には全員リスクを取ります。成長し続けるためには創業時と同じく、一定のリスクを取り続けなければなりません。

3. 情報発信(SNS・Webなどの外部発信)
やった方がいいとわかっているのに、SNSやWebでの発信を始めない。

やらない理由はほぼ共通していて、「めんどくさい」「リソースがない」「自分にはできない」の3つに集約されます。本気でやろうとしていないだけで、本気でやればできます。

伸びている会社の経営者は「めんどくさい」と思いながらもやっています。そこが差になります。

差3:「単発」で終わるか「継続」するか

支援する側として強く感じているのは、単発のスポット支援では根本は変わらないということです。

単発で何かをやっても、結果として「作業」で終わってしまいます。ホームページを作りました、SNSの運用を3か月やりました、広告を出しました——それぞれの施策自体は悪くありませんが、それだけで本当に良くなったという経験がありません。

Affectoryでは今後、長く付き合えるお客様としか仕事をしない方針にしています。理由は明確で、長期的な関係の中でしか、本質的な改善は起きないからです。伸びている会社は、外部の支援者とも長い関係を築いています。

「変われる」ための最初の一歩

自社が「伸びる側」にいるのか「止まる側」にいるのかを判断するための問いを3つ挙げます。

1. 半年前と今で、具体的に何が変わりましたか?
数字、やっていること、話している内容——何か一つでも変わっていれば、動いている証拠です。変わっていないなら、止まっています。

2. 「やった方がいい」と思いながら放置していることは何ですか?
コストカット、新規事業、情報発信——思い当たるものがあるなら、それが最初に取り組むべきテーマです。

3. 外部の視点を最後に入れたのはいつですか?
1年以上、社外の人間に経営について相談していないなら、視野が狭くなっている可能性が高いです。

変化し続ける会社だけが持つ「意味」という資産

10年の支援経験と、M&Aを通じて複数の企業を経営してきた経験から言えることがあります。長く続く会社は、数字ではなく「意味」を更新し続けています。

「何のために存在するか」「誰のために働くか」——この問いに対する答えを、時代に合わせて少しずつ言い換えている会社は、表面的には変わらないように見えても、中身は常に進化しています。逆に、設立時のまま止まっている会社は、どれだけ過去の実績があっても、今の時代の空気には合わなくなっていきます。

伸びる会社は、”今この瞬間”の変化の速度が速いだけでなく、”なぜやるか”を更新し続けています。Affectoryが長く伴走する相手を選んでいるのは、そういう会社と一緒に「意味」を磨き続けたいからです。

支援モデルケース:止まっていた会社が動き続ける会社に変わる

(実際の支援現場でよくあるパターンを集約したモデルケースで、特定企業のものではありません)

関東で受託開発を主力とする中堅IT企業D社(従業員120名・創業18年)。既存顧客の保守案件で売上は維持できているものの、ここ3年ほど売上構成も施策もほぼ固定化。「自社サービス化」「リード獲得の仕組み化」を経営会議で何度も議題に上げながら、毎回「忙しい」「人がいない」で止まったままでした。半年前と比較して数字も話す内容もほぼ変化がない、典型的な「動いていない側」です。

最初の3か月は対象を広げず「Webからのリード獲得」と「既存案件の再現性化(自社プロダクト候補の切り出し)」の2テーマだけにテスト範囲を絞りました。結果が出た打ち手は標準化、出なかったものは止めて次のテストに進める運用に。6か月後、Web経由の月間問い合わせが0件→8件、自社プロダクト候補を1本立ち上げて初期顧客3社を獲得。社内の議論も「やった方がいい」から「やってどうだったか」に変わり、動き続ける会社の側に入りました。


「止まっている」と感じている経営者こそ、外部の視点を入れるタイミングです。Affectoryでは一時的な施策ではなく、長期的に伴走しながら事業の本質的な改善を支援しています。

本当に良いもの、意味のあるものがたくさんの人に知られてほしい。それがAffectoryが大切にする「愛」です。

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よくある質問

Q. 伸びる中小企業に共通する特徴は何ですか?
A. 「今この瞬間も変化し続けている」ことです。将来の計画を語るだけでなく、実際に新しいことを試し、結果を出し、次の手を打っている会社が伸びます。定点観測すると、前回と明らかに話す内容が変わっています。

Q. 中小企業が成長するために最初にやるべきことは何ですか?
A. 「やった方がいいとわかっているのに放置していること」に着手することです。コストカット、新規事業の検討、情報発信のいずれかに該当するケースが多く、そこが成長のボトルネックになっています。

Q. 中小企業の経営課題で10年間変わっていないことは何ですか?
A. IT化の遅れです。10年前から「もっとIT化が進む」と予想されていましたが、多くの中小企業で進んでいません。一方で、IT化自体が目的ではなく、必要のない会社もあるという現実もあります。

Q. 経営コンサルティングの単発支援は意味がないのですか?
A. 単発では「作業」で終わってしまい、本質的な改善につながりにくいのが実情です。長期的な関係の中で、課題の発見→改善→定着→次の課題発見というサイクルを回すことが成果につながります。

Q. 自社が「伸びている側」か「止まっている側」か判断する方法はありますか?
A. 半年前と比べて「具体的に何が変わったか」を振り返ってください。数字、取り組み、考え方のいずれかが変化していれば動いている証拠です。何も変わっていなければ、外部の視点を入れるタイミングです。


中小企業の情報発信が成果につながらない3つの理由と、まず始める3ステップ

【この記事でわかること】

SNS運用・コンテンツ制作・映像制作を含む情報発信支援を数多く行ってきたAffectoryが、現場で繰り返し見てきた失敗パターンを共有します。

中小企業の情報発信は「やったほうがいいのはわかっている」のに進まないか、進めても成果につながらないケースがほとんどです。原因は能力でも予算でもなく、構造的にずれた取り組み方をしていることにあります。

「うちには発信するものがない」が間違っている理由、発信が成果に届かない3つの典型パターン、そしてまず最初に始めるべき3ステップを、200社以上の支援経験とM&Aで複数の中小企業を経営してきた立場から具体的に解説します。

【執筆】株式会社Affectory 取締役 堀池 広樹

(中小企業向けDX支援・SNS運用・映像制作・新規事業コンサルティング/affectory.co.jp


「発信したほうがいいのはわかっているけど、何を出せばいいかわからない」「以前SNSをやってみたが、まったく反応がなくて止まった」「忙しくて更新が止まったまま」——中小企業の情報発信は、このようにコスト回収ができず終わっているケースがほとんどです。

重要なのは、能力や予算よりも「取り組み方の構造」のほうが成果を分けているという事実です。

検索行動やSNS経由の比較検討は、BtoBもBtoCも年々増えています。発信していない会社、発信しても成果につながっていない会社は、見込み客の選択肢に入る前段階で消えていきます。

「うちには発信するものがない」が間違っている理由

情報発信の支援に入って最初に必ず聞くのは「うちには特別なものがないので発信しても意味がない」という言葉です。しかしこれは、ほぼ全ケースで誤った自己評価です。

長く続けていること、地域で名前が知られていること、特定の技術を持っていること、独自の業務フロー、顧客との関係性、現場の知見——本人にとっては「当たり前」のものほど、外部から見ると差別化要素として価値があります。

実際にお客様や取引先に「なぜここを選んでいるのか」を聞くと、経営者が想像していなかった理由が必ず出てきます。それを発信していないから、見えていない人にはたどり着かないだけです。

「発信するものがない」のではなく「発信していい価値が言語化されていない」が正しい認識です。

発信が成果につながらない3つの理由

やってみたものの止めた、続けているのに成果が出ないという状態にも、構造的な原因があります。3つに集約できます。

理由1:「自社」を主語にしてしまっている

「弊社の新サービスをリリースしました」「展示会に出展します」——主語が自社になっている発信は、読み手に「自分に関係あること」として受け取られません。発信は「読み手の課題」を主語に置き、自社の取り組みをその答えとして提示する構造に組み替える必要があります。

理由2:単発で終わる

ホームページのリニューアルだけで止まる、SNSアカウントを開設したまま放置する、ブログを3本書いて止める——どれも単発施策の典型です。情報発信は「ストック」を積むほど成果が出る性質があり、最初の数か月はほとんど成果が見えません。続いていない発信は、ほぼ存在していないのと同じ状態になります。

理由3:担当・運用ルールが決まっていない

「気づいた人が更新する」状態の発信はほぼ確実に止まります。月に何本、何曜日、誰が承認するか——運用ルールを決めずに始めた発信が止まるのは時間の問題です。続けるための仕組みが、発信の質よりも先に必要です。

中小企業がまず始めるべき発信3ステップ

全部を一度に整えるのは現実的ではありません。順序があります。

ステップ1:1つのチャネルに絞る

SNS全部、ブログも、YouTubeも——一気に始めるのはほぼ100%失敗します。まずは見込み客と最も親和性のある1チャネルだけ選んでください。BtoBなら自社サイト+ブログ、地域BtoCならInstagramや公式LINE、技術系ならX(旧Twitter)や技術ブログ、というように業種で当たりをつけて1本に絞ります。

ステップ2:ストック型コンテンツを優先する

日々の業務報告のような「フロー型」の発信は流れていきますが、お客様の課題と解決の事例、よくある質問への回答、技術や業務知見の解説——こうした「ストック型」のコンテンツは検索や紹介で長く読まれ続けます。最初の3か月はストック型を優先して積んでください。

ステップ3:月次レビューで打ち手を更新する

出して終わりにせず、月1回どの記事・投稿が読まれたか、問い合わせにつながったかを必ず振り返ってください。読まれた切り口を伸ばし、反応が薄かったテーマは止める。この更新サイクルが回り始めると、発信は「やっているだけ」から「効いている」に変わります。
AIが急激に発展している今、「AIで投稿を量産したり記事を量産すればいい」と思うかもしれません。ある種正しいのですが、そのまま適当に更新してしまうのは非常に危険です。直近のGoogleコアアップデートでは、WEBサイトの質を見極め、質が低いWEBサイトや記事は表示されないようにシビアな判断がされるようにアルゴリズムが変更されています。AIでの検索結果表示やSNSも同様に、投稿の質を重視されるようになってくるのは間違いありません。

あくまで「自社だけが持っているノウハウ」や「自社だからこそ出せる情報」を発信するように意識してください。

発信は「マーケティング施策」ではなく「自社の意味」の言語化

中小企業の情報発信が本当に成果を出すとき、その芯にあるのは「自社が何のために存在するか」という意味の言語化です。

新しい商品を出した、サービスを始めた——それ自体はもちろん発信していい情報ですが、それだけでは差別化になりません。なぜそれをやっているのか、誰のために続けているのか、自社にしかない切り口は何か——その「意味」が一貫していると、ばらばらの発信が一つの会社の物語として読まれるようになります。

人口減少時代において、価格や機能だけで選ばれ続けるのはほぼ不可能です。差別化できるのは「意味」だけ、と言っても過言ではありません。発信は、その意味を社外に届けるための回路であり、ブランディング・採用・営業のすべてに効く投資です。

支援モデルケース:「うちは発信するものがない」が見込み客3倍につながるまで

(実際の支援現場でよくあるパターンを集約したモデルケースで、特定企業のものではありません)

関東で精密部品の受注生産を手がけるBtoB部品メーカーG社(従業員250名・創業52年)。長年、大手OEMからの紹介と展示会経由の引き合いだけで仕事が回っていましたが、コロナ禍で展示会が縮小して以降、新規問い合わせがほぼ止まり、「Webから問い合わせが来る会社」との差を強く感じるようになっていました。経営層は「うちの技術は地味で、発信するような派手なネタはない」と長らく動けないままでした。

支援開始時、まずチャネルは自社サイト+技術ブログの1本に絞り、現場のエンジニア2名がローテーションで月2本書く運用ルールを決定。コンテンツは「他社で断られたが当社で実現できた精密加工の事例」「素材ごとの加工難易度の比較」「短納期対応の社内体制」など専門領域のテーマに集中。同時に既存顧客10社にヒアリングして「なぜG社を選び続けているか」を言語化し、それを記事の切り口として組み込みました。

6か月後、Web経由の月間問い合わせ数は0〜2件から平均8件に増え、初の海外引き合い(東南アジア)も発生。「うちに発信するものはない」と言っていた経営層が、社内の知見を「価値ある情報」として認識し直し、その後は営業資料・採用ページにも同じ切り口が展開されていきました。


「発信するものがない」と感じている経営者ほど、一緒に話してみると驚くほど発信できる素材が出てきます。Affectoryでは、コンテンツの作り方より先に「自社の意味」を一緒に言語化することから情報発信支援を始めています。

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よくある質問

Q. 中小企業が情報発信を始めるなら最初にどのチャネルがいいですか?

A. 1つに絞るのが鉄則です。見込み客との親和性で選びます。BtoBは自社サイト+技術ブログ、地域BtoCはInstagramや公式LINE、技術系コミュニティに届けたいならX(旧Twitter)や技術ブログ、と業種で当たりをつけて1本だけスタートしてください。

Q. 「うちには発信するものがない」と思っている場合どうすればいいですか?

A. ほぼ全ケースで「発信するものがない」のではなく「発信していい価値が言語化されていない」が正しい認識です。お客様や取引先に「なぜうちを選んでいるのか」を5〜10名にヒアリングしてください。経営者が想像していなかった選ばれる理由が必ず出てきます。

Q. SNSで発信しても反応がないのはなぜですか?

A. 主な原因は3つあります。主語が「自社」になっている、単発で終わっている、運用ルールが決まっていない。とくに「自社の新商品をリリースしました」型の発信は読み手の関心を引かず、読み手の課題を主語にした構造への組み替えが必要です。

Q. 発信を始めてから成果が出るまでどのくらいかかりますか?

A. ストック型コンテンツを継続できれば、目安として3〜6か月で読まれる記事が出始め、6〜12か月で問い合わせや指名検索につながります。最初の数か月は成果がほぼ見えないため、運用ルールを先に決めて「止めない」設計が決定的に重要です。

Q. 中小企業が情報発信を続けるための仕組みは何が必要ですか?

A. 担当・更新頻度・承認フローの3点を最初に明文化することです。「気づいた人が更新する」状態は確実に止まります。月に何本・誰が・どの曜日に出すかを決め、月次でレビューする運用に乗せられた会社だけが続きます。


経営者が言う「人手不足」、本当の課題は何か?

【この記事でわかること】
SNS運用やマーケティングをはじめとしたコンサルティング企業としてさまざまな企業を支援してきたAffectoryが、現場で繰り返し見てきた共通の「ズレ」をお伝えします。
経営相談で最も多いのは「人を採りたい」「求人を出しても来ない」という採用課題です。しかし掘り下げると、本当の問題は求人内容ではないケースが大半。経営者自身が気づけない構造、変われる会社と厳しい会社の見分け方、本当の課題に向き合うための3ステップを、200社以上の支援とM&Aで複数の中小企業を経営してきた立場から解説します。

【執筆】株式会社Affectory 取締役 堀池 広樹
(中小企業向けDX支援・SNS運用・映像制作・新規事業コンサルティング/affectory.co.jp


経営コンサルタントとして中小企業の相談を受けるとき、最初の15分で経営者が口にする課題と、実際に現場を見て浮かび上がる課題はほぼ確実にズレています。

これは経営者が嘘をついているわけではありません。言っていること自体は確かに困っていることです。ただし、その課題の原因や解決策が本当の原因と違うことが非常に多いのです。

なぜズレるのか。答えは単純で、経営者と話しているだけでは本当の課題は見えないからです。現場のスタッフと話して、取引先の生の声を聞いて、数字の裏側を見て、初めて構造が見えてきます。

「人手不足」の裏にある「離職」の問題

問い合わせで最も繰り返し出てくるのは採用課題です。「人を採りたい」「求人を出しても来ない」という相談が圧倒的に多い。

しかし掘り下げると、本当の問題は採用ではなく離職にあります。「維持すべき人を維持できていない」ことが根本です。辞めていく人がいる限り、いくら採用しても穴は埋まりません。「どうやったら人が辞めないか」を先に考えるべきなのです。

なぜ経営者自身が気づけないか。現場のスタッフと経営者では目線や感じ方が違います。スタッフの意思を100%伝えられている会社はほとんど無いからです。その原因は社長自身のコミュニケーションスタイルにあったりします。経営者は気づいていませんし、現場も直接は言えません。この構造が、課題のズレを生みます。

「変われる会社」と「厳しい会社」の見分け方

相談を受ける側として何を見ているか。

変われる会社のサインは、経営者がスタッフからリスペクトされていることです。経営者が「右に行く」と言ったらみんなついてくる会社。こういう会社は、課題が見つかっても方向転換が早いです。

厳しい会社のサインは、スタッフの空気が悪い会社です。結局は経営者に原因があるのですが、初回面談だけではわかりません。実務部隊に繋がれて、現場のスタッフと話した時に「これはきつそうだ」と感じます。こういった場合は、経営者のことをスタッフに理解してもらうため、コミュニケーションの場を強制的に増やします。100人規模の会社でも全員と話してもらいます。我々もスタッフとの対話の場を多く設けます。

はじめは経営者もスタッフも苦しいプロセスですが、経営者が今困っていることや将来やりたいことを正直に開示することで、相互理解が得られます。相互理解はサイレント離職を防ぐために必ず必要な要素です。

本当の課題に向き合うための3ステップ

自社の本当の課題を見つけるために、以下の手順を試してみてください。

ステップ1:経営者以外の声を聞く
現場のスタッフ、取引先、お客様に「うちの会社についてどう思いますか」と聞いてみてください。取引先やお客様には、「普段スタッフとどんな話をしますか」と聞きます。経営者の認識と現場の認識のギャップが、そのまま「本当の課題」のヒントになります。

ステップ2:「辞めた人の理由」を正直に振り返る
採用に課題を感じているなら、まず直近で辞めた人の退職理由を洗い出してください。「一身上の都合」で片付けず、本当の理由を把握する努力をしましょう。理由がわからない場合は、辞めた人の周りにいる人に自らの悩みを開示し、正直に話してもらいましょう。

ステップ3:辞める前に声を吸い上げる仕組みを作る
辞めた人の理由を振り返るだけでは後手に回ります。月次1on1や現場リーダーから経営層への定期報告など、声が「辞める前に」上がってくる動線を作ってください。仕組みがなければ、現場の不満は経営者まで届かないまま離職という形でしか表面化しません。

経営者と現場を繋ぐ「意味」の整理こそが本当の支援

10年以上の支援経験で確信していることがあります。中小企業の本当の課題は、個別の施策ではなく「会社が何のために存在するか」という”意味”の整理にあることがほとんどです。

経営者は「利益」「成長」を語り、現場は「働きやすさ」「やりがい」を求めます。両者は対立するわけではなく、同じ”意味”の違う側面です。経営者と現場がそれぞれ納得できる”意味”を言語化できている会社は、表の課題がなんであれ、必ず前に進みます。

Affectoryは飲食店経営やM&Aを通じてさまざまな業態の企業を運営しており、経営と現場を両方の立場で見てきました。だからこそ、表の課題の裏にある本当の課題を一緒に掘り下げる支援ができます。

支援モデルケース:「採用が追いつかない」が止まった離職の連鎖

(実際の支援現場でよくあるパターンを集約したモデルケースで、特定企業のものではありません)

関東で総菜・弁当のOEM製造を手がける中堅食品メーカーF社(従業員180名・うち本社事務職60名)。

経営者の最初の相談は「営業と本社管理部門の採用が追いつかない」「求人を出しても応募が来ない」でした。しかし現場のリーダー層に話を聞くと別の景色が見えてきました。

直近2年で営業と本社事務あわせて10名が退職し、退職者の共通理由(経営層の方針が現場に下りてくるまでに表現がぶれる/評価基準がブラックボックス)が、いま残っている社員からも繰り返し挙がっていたのです。

打ち手は採用強化ではなく、まず離職の止血。退職者にあらためて出口面談を実施して理由を構造化し、評価基準と昇給ルールを部門ごとに明文化、月次1on1で現場リーダーが拾った声を経営会議に上げる仕組みを作りました。

1年後、本社事務・営業の離職率は約15%から5%まで低下。採用を増やしていないにも関わらず人員定着率が上がり、「人手不足」を感じる場面そのものが大幅に減りました。


「人がいない」と感じている経営者ほど、現場のスタッフ・取引先に話を聞くと本当の課題が見えてきます。Affectoryでは、経営層だけでなく現場まで踏み込んで、表の課題の裏にある本当の課題を一緒に見つけることから支援を始めています。

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よくある質問

Q. 経営者の言う課題と本当の課題がズレるのはなぜですか?
A. 経営者は自社を「上から」見ていますが、課題の根本原因は「現場」にあることが多いためです。経営者と話すだけでは表面的な課題しか見えず、現場のスタッフと話して初めて本質が浮かび上がります。

Q. 中小企業の経営相談で最も多い悩みは何ですか?
A. 圧倒的に「採用」です。しかし本当の問題は採用ではなく離職にあることがほとんどです。人の流入ばかりに目を向けるのではなく、「なぜ辞めるのか」を先に解決すべきケースが大半です。

Q. 変われる会社と変われない会社の違いは何ですか?
A. 最大の違いは「経営者が従業員からリスペクトされているかどうか」です。経営者の方針にチームがついてくる会社は、課題発見後の方向転換が早く、成果につながりやすいです。

Q. 経営コンサルティングに相談するタイミングはいつがベストですか?
A. 問題が深刻化する前、つまり「なんとなくうまくいっていない」と感じた段階がベストです。「半年前に来ていれば」と感じる相談も多く、早い段階で外部の目を入れることで選択肢が広がります。


コンサルが飲食店を開業してわかった経営と支援の違い

【この記事でわかること】
SNS運用やマーケティングをはじめとしたコンサルティング企業としてさまざまな企業を支援してきたAffectoryが、自ら(グループ企業として)福岡空港で寿司店「ニシムラ鮨」を開業しました。売上は想定の2倍近くになりましたが、想定していない問題も当然起こります。「支援する側」と「経営する側」では、見えるものも感じる恐怖もまるで違います。経営現場の現実を正直にお伝えするとともに、本当に価値あるものをどうやって見つければ良いのか、気づきを共有します。

【執筆】株式会社Affectory 取締役 堀池 広樹
(中小企業向けDX支援・SNS運用・映像制作・新規事業コンサルティング/affectory.co.jp


コンサルティング企業が飲食店を開いた3つの理由

そもそも、なぜ飲食店を開いたのか。

地方に眠る企業には、非常に大きな可能性があると我々は感じています。そのため、魅力的な企業の発掘・M&Aなども積極的に行っており、今回の飲食事業もその一つです。

「コンサルが飲食店を開いた」と聞くと、数字をガチガチに固めてから動いたように思われるかもしれません。実際は違います。「根拠はないけど確信があった」というのが正直なところです。

確信の根拠は3つありました。

まず、日本が世界で勝負できる数少ないものの一つが「食」であり、飲食事業をやりたいという気持ちがあったこと。

次に、シェフの腕が間違いなく良いこと。「ミシュランガイド福岡・佐賀・長崎2019」にてフュージョン部門で日本人唯一の一つ星を獲得した西村貴仁(にしむら たかひと)シェフとタッグを組む。必ずお客様に美味しいと言ってもらい、新しい体験を提供できると確信していました。

そして決め手は立地です。福岡空港で60〜70年続いた寿司屋2店舗が同時に閉店し、その跡地に入れるという話が来ました。もともと寿司で集客できていた場所に、腕のいいシェフを置けば「美味しいものを多くの人が通る場所に出せて、(少なくとも1度は)食べてもらえるんだから、絶対に流行る」という判断でした。

ただ、同じ場所で出店していた飲食店が相次いで撤退したり、新規出店しても1人もユーザーがつかないという状況も目の当たりにしました。「商品力」×「マーケティング」のどちらかが欠ければ失敗するという事業運営の法則はどの業態でも例外ではありません。

事業計画で最も外れたのは「人材」

売上の面では想定を大きく越えて2倍近くになっており、むしろここまでうまくいったことには驚いています。AffectoryではSNS運用やマーケティング面で優秀な人材とノウハウを抱えており、BtoCの飲食店という業態と相性が良かったことも幸いしました。

しかし、逆に最も苦戦し、今も難しさを抱えているのは「人の確保」でした。

開業前の計画では、ここまで人が必要だとは想定しておらず、スタッフに過大な負担をかけることになりました。初日から朝6時に集合し深夜1時まで作業、翌日も同様です。開業2日目にはもう「人がもっと必要だ」と気づいていました。今は従業員の皆さんの頑張りに加え、人材確保も少しずつ進めていますが、まだまだ人手が足りない状況です。

飲食店の開業を検討されている方にお伝えしたいのは、「人員計画は自分の想定の1.5倍で見積もるべきだ」ということです。足りない状態で始めると、スタッフの離職を招き、さらに人が足りなくなるという悪循環に陥ります。人員を増やして回らない事業であれば、開業前の時点でリスクが非常に大きいということを意識しておく必要があります。

経営しているからこそ変わったコンサルティングの言葉

この経験を経て、コンサルタントとしてのアドバイスも明確に変わりました。

以前は「こうすべきです」と言えていたことが、今は「自分もこうやって痛い目に遭いました」と言えるようになりました。お客様にとって、正論よりも「同じ痛みを知っている人の言葉」のほうが響きます。コンサルティング企業で自社サービスをローンチしているところはありますが、支援させていただいているお客様の業態を実際に痛みをもって体験しているコンサルティング企業はほとんど無いと思います。

特に飲食業の経営者に対しては、売上やマーケティングの話と同じくらい、抱えている人材や今後採りたい人材についての問題を話すようにしています。売上以前の問題が山積みであることを、身をもって知ったからです。

令和の中小企業が発揮するべき、本当の価値とは

人口減少にともない、中小企業は今後も働き手不足と客不足に悩まされることになります。働く場所としてもサービスを提供する企業としても差別化が難しい時代に、差別化できるのは「意味」だと私たちは考えています。ここで働くことに「意味」があるのか。この商品を使うことで「意味」を見出せるのか。それが最も大きな差別化になります。

SNSやAIで情報の流れが速くなり、「バズ」の概念が生まれ、本当に価値があるものは何なのかユーザーも判断できなくなっても、長い目で見て利益を生み出すのは「バズ」ではなく「商品」です。SNS運用やマーケティングのノウハウによってユーザーに知ってもらうことはできますが、商品の力が弱ければユーザーはすぐに離れてしまいます。

移り変わりが激しすぎる時代だからこそ、移り変わらないファンを獲得することこそが、この時代に勝てる経営スタイルなのです。


経営しながらマーケティングや組織の課題を感じている方は、同じ立場で経営しているコンサルタントに相談することで、机上の空論ではない実践的な助言を得られます。Affectoryでは飲食店に限らずさまざまな業態の企業をM&Aを通じて経営しており、経営の実体験をベースにした支援を行っています。

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よくある質問

Q. コンサルタントが飲食店を開業するメリットは何ですか?
A. 最大のメリットは、お客様と同じ目線で経営課題を語れることです。支援する側の知識と、経営する側の実感の両方を持つことで、机上の空論ではない実践的なアドバイスが可能になります。

Q. 飲食店の開業で最も想定外だったことは何ですか?
A. 人材確保の難しさです。売上は想定の2倍近くを達成しましたが、必要な人員数を大きく見誤り、スタッフに過大な負担をかけました。開業2日目には人手不足を痛感しています。

Q. 飲食店の事業計画で人員計画はどう見積もるべきですか?
A. 自分の想定の1.5倍で見積もることを推奨します。特に開業直後は想定外のオペレーションが発生しやすく、余裕のない人員配置はスタッフの離職を招く悪循環につながります。

Q. 「支援する側」と「経営する側」の最大の違いは何ですか?
A. 「失敗の恐怖」の質が決定的に違います。コンサルは「集客が難しい」と言えますが、経営者は自分の店が空いている状態を目の当たりにする恐怖と向き合います。この恐怖は経営してみないとわかりません。

Q. 飲食店の開業を検討していますが、コンサルに相談すべきですか?
A. 相談すべきですが、「自分でも事業を経営しているコンサル」を選ぶことを強くお勧めします。飲食業の現場を知らないコンサルの提案は、現場の体力や人員の実態を無視した机上の計画になりがちです。